フィボナッチリトレースメントとは
フィボナッチリトレースメントとは、波の戻りまたは押しがどれくらいなのかを予測するのに用いられる考え方の一つです。
「使っている人が多いからなんとなく利用している」という人も多いと思いますが、フィボナッチ比率と相場にどのような関係性があるのかを説明できる人は少ないかと思います。
そこで今回は、「なぜフィボナッチリトレースメントが押し、戻りの予測に効果的なのか」について解説致します。
フィボナッチ比率とはフィボナッチ数列(1から始めて前の数字を加算していく数列。1、1、2、3、5、8、13…と続く)の数字の間に現れる特徴的な比率のことです。
このフィボナッチ比率で波の押し目、戻りを予測する考え方をフィボナッチリトレースメントと言うのですが、フィボナッチ比率と相場にどのような関係性があるか疑問に思われた方も多いかと思います。
フィボナッチ数列において任意の数字を二つ飛ばしの次の数字で割る | 0.236に収束 |
フィボナッチ数列において任意の数字を一つ飛ばしの次の数字で割る | 0.382に収束 |
フィボナッチ数列において任意の数字を次の数字で割る | 0.618に収束 |
フィボナッチ数列において任意の数字を前の数字で割る | 1.618に収束 |
フィボナッチ数列において任意の数字を一つ飛ばしの前の数字で割る | 2.618に収束 |
フィボナッチ数列において任意の数字を二つ飛ばしの前の数字で割る | 4.236に収束 |
フィボナッチ比率と相場の関係性
結論から言いますと、フィボナッチ比率と相場には何の関係性もありません。ですがフィボナッチリトレースメントをチャートに当てはめると、不思議と効いているように見えますよね。
このことには理由があります。着目して欲しいのはフィボナッチ比率でもない50%がフィボナッチリトレースメントに組み込まれているという点です。
フィボナッチ比率で波の動きを予測するのであれば、フィボナッチ比率ではない50%は本来必要ないはずですよね。ではなぜフィボナッチリトレースメントには50%が予め組み込まれているのでしょうか。
フィボナッチ比率ではない「50%」がフィボナッチリトレースメントに必要なワケ
値動きの材料が無ければ、相場は平均に収束するという原則があります。レンジ相場が続くと相場の値動きがどんどん小さくなり小幅な値動きになるかと思いますが、これはFXに限ったことではなく身近な物の値動きにも同じことが言えます。
例えば、オークションで過去の最高値が5,000円、最安値が3,000円の品物があり、常に一定の量が市場にあるものとします。その品物を売りたい人は可能な限り5,000円に近い価格で落札して欲しいと考えるでしょうし、逆にその品物を買いたい人は3,000円に近い価格で競り落としたいと思うでしょう。
市場にある品数が一定であり値動きの材料が無ければ、やがて一番売りやすい5,000円と3,000円の平均価格である4,000円前後に落札価格が落ち着いてくることは想像に難くありません。
このように、特に値が動く材料がなければ、ある高値(レジスタンスライン)と安値(サポートライン)の「50%」付近に値が収束していくことは相場の大原則なんです。
フィボナッチリトレースメントはこの相場の特性を活かし、高値を100%、安値を0%とした場合に値が上昇する気配が強い場合は61.8%、逆に下降する気配が強い場合は38.2%前後で押しまたは戻りが来るものとして値動きの予測に利用され始めたものなのです。
つまりフィボナッチリトレースメントにフィボナッチ比率でもない50%があるのは、むしろ50%前後の値動きの様子を観察するためであり、フィボナッチ比率の中で61.8%と38.2%が重要視されるのもこのことが要因なのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。フィボナッチリトレースメントが効くのは自然界に黄金比が多いからという謎の法則性によるものでもなければ、フィボナッチを意識している人が多いからという理屈でもありません。
「特に材料が無ければ高値と安値の50%付近に相場は収束していく」という相場の大原則を前提としたものだからです。
FXで相場を分析する際は、自分が理解しているもので相場と向き合いましょう。ロジックが曖昧なインジケーターやツールを振り回したところで何も得られません。
FX関連の知識には誤ったものも多いので、しっかり有効性を自分で検証し、取捨選択を重ねていくことが大切ですよ。